† SMALL TALK †
 
自由研究 ドール好きは色移りから解放されるか? その3

さてさて、色移り除去実験開始から約2日( 51 時間)が経過しました。
それぞれの素体はどのようになったでしょうか?早速、結果をご報告します。

Ⅰ 被検体① ユキノのボディ(DDdy・ノーマル・2011年製)
2014 年発生 蛍光ピンク 色移り後約 2 年経過
2016 年発生 黒 色移り後約 24 時間経過

before


51 hours after

2014 年発生の蛍光ピンクの色移りはごくわずかに薄くなったような感じもしますが、やはりはっきりと残っています。この蛍光ピンクはほとんど拡散もしないので、染料が特殊なのかもしれません。2年を経過しているから効果がないのか、染料の性質故に効果がないのかを突き止めることができず残念です。

2016 年発生の、発生後 24 時間程度を経過した黒色の色移りですが、右腕は、接近して目を凝らすとかすかに名残があるものの、ほぼ、言わなければわからない水準にまでもっていくことができました。お腹回りの下着由来の黒い色移りは完璧に消失し、跡形もありません。また、キッチンペーパーの上から塩素系漂白剤の原液をかけるなど、かなり過激なこともしましたが、懸念された下地(肌色)の脱色はみられず、ソフビの質感にも、目で見てまたは触れて分かるような明らかな変化は確認されませんでした。

Ⅱ 被検体② キュリオのボディ(DDS 一体型・ノーマル・2016 年製)

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51 hours after

発生後約1カ月( 40 日ほど ) が経過した濃紺の色移りです。
処置前に比べるとかなり綺麗になりましたが、まだ少し名残が見て取れます。
ただ、薄くなったということは、脱色自体はされているということだと思います。実は、ももの裏側の色移りはほぼ完璧にとれました。(ニーソが原因だったので、輪状にぐるっと色移りしていました。)前側は、状態を確認するために数時間~十数時間おきに薬剤の染みたキッチンペーパーをはがしていたのですが、そのことが影響しているのかもしれません。それを確認するために、キュリオのボディのみ、もう1クール(約 16 時間程度を目途に)途中確認を一切しない形で追試験をしてみます。

今回の実験で、2016 年製のボディについても、現時点ではまだ完璧ではないものの、塩素系漂白剤による色移り除去の効果があることは確認できました。従って、検証課題「B 現行(2014年頃以降)の素体・素材には効果がない」については、「現行(2014年頃以降)の素体・素材に対しても一定の効果がある」と結論してよさそうです。追試験の結果は、明日ご報告します。

Ⅲ 被検体③ 昔のユキノのボディ(DD・ノーマル・2009 年製)

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51 hours after


色移り後約5年を経過した患部に対する実験でしたが、これはさすがに厳しいものがありました。こころもち薄くなったようにも感じられないわけではないですが、他と比べて明らかに効果が薄いといって間違いないと思います。ここまで拡散が進行した患部に対しては、塩素系漂白剤による色移り除去は、実効的ではないと結論してよいでしょう。この素体については追試験をあきらめることにしました。

まとめ
塩素系漂白剤は、ソフビの色移り現象に対して、一定の効果を発揮することがわかりました。色移り後、できるだけ早く対処する方が効果は高く、時間が経過するに従って、効果が薄くなるか、ほとんど無効になることがわかりました。

検討課題について
A 色移りが起こった直後に処置するのでなければ効果がない
⇒ この指摘はある程度正しいことがわかりました。
具体的には、
約 24 時間を経過した患部=ほぼ完璧に消失。
約 40 日を経過した患部=かなりの効果は認められるが、色移り直後の患部に比べると色が消えるのに時間がかかり、痕跡がしつこく残る。
約2年を経過した患部=ほぼ効果がない(染料の性質による可能性もあり)。
約5年を経過した患部=ほぼまったく効果がない。
ということがわかりました。
結論として、色移りを発見したら、できるだけ速やかに処置することが有効であると言えそうです。

B 現行(2014年頃以降)の素体・素材には効果がない
⇒ 新しい素体に対しても全く効果がないということはない、ということがわかりました。
製造年が新しい素体の色移りに対しても、塩素系漂白剤は一定の効果を発揮することが確認できました。色移りがどの程度綺麗に消えるかは、素体の製造年月日よりも、色移りしてからどの程度の時間が経過しているか(拡散の進行程度)の方が重要な要素であると結論してよいと思います。

C 地の色まで脱色してしまう
⇒ 今回の実験の条件下である限り、明確に知覚できるような地の色(肌色)の脱色は起こらないことがわかりました。ソフビがテカるなどの弊害もいまのところ発生していません。
ただし、理屈の上では、塩素がソフビに含まれている色素を脱色する可能性はあるわけで、絶対に地の色(肌色)は抜けないと結論するのは危険だと思われます。

以上をまとめると、
塩素系漂白剤はソフビの色移りに対して一定の効果があるが、その効果の程度は、素体・材質の製造時期の影響はみられないものの、色移りしてからの経過時間に大きく依存し、経過時間が短いほど効果が高く、経過時間が長い患部にはほとんど効果がないことがわかりました。また、50 時間程度の施術であれば、明らかにわかるような変質をソフビ自体に引き起こす可能性は低いことが確認できました。

従って、色移りを発見した際に、塩素系漂白剤による沈着染料の除去(脱色)を試みる際は、できるだけ速やかに施術すると無事に脱色に成功する可能性が高いと結論できそうです。

ただ、例えば今回の実験における現行ユキノボディ(Ⅰ)の場合、色移りに要した時間は約 1.5 時間、除去に要した時間は約 50 時間ですから、費用対効果はお世辞にもよいとは言えません。やはり、月並みなことになりますが、ソフビ素体を扱う限りは、「できる限り色移りをしないようにする」のが最善と言わざるを得ないのかもしれません。

実を言うと、それが嫌だから色移りしても修復できる方法を確立したいというのが今回の実験の動機でしたが、実験の結果を踏まえると、結局、色移りを未然に防ぐ努力をする方が正解ということになってしまいそうです。

とはいえ、今回の方法は色移りに対し、一定の条件の下では(時間と手間がやたらにかかることをとりあえず棚上げすれば)確かな効果があることが確認できたこともまた事実です。

色移りは我々ドール愛好家の頭を常に悩ませる共通の問題です。今回の実験が、色移りに困っておられるご同輩のお役に少しでも立てばうれしいです。

2016.08.03 Wed.

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